「日本社会の右傾化、軍国化は深刻な段階に達していて、日本のアジア再侵入は可能性でなく、目の前の現実として近づいている」(24日付 北朝鮮・労働新聞)

「就任するや否や、日米同盟の強化と中国の威嚇を理由に、日本の軍事大国化に乗り出した」(28日付 韓国・東亜日報)

第2次安倍政権の発足を伝える韓国メディアのトーンは、北朝鮮メディアとあまり差がないように見える。やはり目立つのは、安倍政権に「極右」のレッテルを貼って敵視する報道姿勢だ。

27日付の韓国・朝鮮日報は新政権を「安倍妄言内閣」と呼び、慰安婦問題などについての新閣僚のこれまでの発言などを批判している。

中でもやり玉に挙がったのは、昨年8月に韓国・鬱陵島に上陸しようとして韓国側から拒否された新藤義孝総務相と稲田朋美行革担当相。同紙社説は両氏を「独島突撃隊員」と命名し、新藤氏と稲田氏が入国拒否騒動で知名度を上げたと勝手な解説をしている。しかし韓国側がテロリストに適用される法律を使って、友好国の国会議員を入国拒否する非礼を働いたことは書かれていない。

さらにふるっているのは、「金正恩に似ている安倍首相」と題したコラムを掲げた中央日報だ。同紙によれば、金正恩氏と安倍首相は「2人とも頑固な内在的論理で重要な政策を決める。国際世論や隣国との関係よりは国内政治の必要に応じて一人はミサイルを打ち上げ、もう一人は保守・右翼の主張に迎合する政策を押し切る」のだそうだ。

こうした安倍政権に対する敵視の陰に見え隠れするのは、中国を中心に世界の秩序が成り立っていると見る「中華思想」という世界観だ。27日の朝鮮日報は、安倍氏の外交姿勢について「対中『低姿勢』対韓『高姿勢』」と見出しでうたった。記事では、経済への影響から中国に対しては強く出られないが、安倍氏はその分、韓国政策で「極右勢力の不満」を解消しようとするとの専門家の声を紹介している。

伝統的な中華思想では中心にある中国が最も偉い国であり、遠くにあるほど未開の民族であるという発想をするため、韓国は日本よりも偉大でなければならないことになる。強い日本の復活を目指す安倍首相を韓国側が敵視する背景には、「韓国より強い日本は許されない」という中華思想に基づいたプライドも底流になっている可能性がある。

しかし核開発を続ける北朝鮮を前にして、現実的に日韓が協力することが望ましい。日本を敵視する姿勢を韓国が取りつづければ、北朝鮮の侵略によって韓国は中国共産圏の一部に組み込まれる危険性が高い。新中華秩序の一部となっては、自由も人権も民主主義も失われ、何もいいことはないのだと、韓国は早く気づかねばならない。

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