民主党が27日、次期衆院選のマニフェストを発表した。「動かすのは、決断。」というキャッチコピーだが、前回の衆院選の時のような数値目標や工程表は姿をひそめている。「前に進むのか、後ろに戻るのか。それが問われています」と最初のページで啖呵を切るが、公約の内容を読む限り、民主党政権のダッチロールを現状肯定する「言い訳マニフェスト」になっている。

防衛では「現実的な外交防衛」を打ち出した。しかし「防衛力を整備」とは書いたものの、具体策では「海上保安庁などの警戒監視、警備体制を拡充」以上に踏み込んでいない。尖閣諸島周辺では、中国の艦船が数十日にわたる居座り作戦で尖閣奪取の機会をうかがっており、海上保安庁だけでは対処しきれなくなっている。しかし民主党の公約は、依然として尖閣防衛を海上保安庁任せにしており、自衛隊の出動を十分に想定していない。

日本の諸都市に向けた核ミサイルを含め、中国が行っている驚異的な軍拡という「現実」について対抗策を打ち出すことが、日本の防衛にとっての焦眉の急だろう。しかし民主党はこうした現実を無視しており、とても国を守れるような政策ではない。

経済分野では名目で3%程度の経済成長を目標とするが、そのための政策は極めて希薄だ。そもそも消費税の増税を進めれば景気の大幅な減速は避けられないし、「2030年代までに原発ゼロを可能にする」という路線では電力供給が不安定になり、経済成長できない。

さらには太陽光などの再生可能エネルギー産業を雇用創出の核の一つに位置付けているが、これはアメリカの失敗例を無視したものだ。オバマ米政権は「グリーン・ニューディール」を旗印に、再生可能エネルギーへの投資を進めたが、発電コストの高さを克服できずに挫折している。民主党の政策では重税で不況を深刻化させ、新産業も創出できずに、日本経済を没落へと導くことになる。

民主党の公約はこの国のかじ取りを託せるものでは到底ないが、自民党にしても長期的な戦略に欠ける。国防はアメリカ頼みの枠組みから抜け出せておらず、経済政策も消費税増税など福祉路線になびいて景気回復が中途半端になりかねない。

こうした点で、幸福実現党に見るべきものは多い。同党は、中国の軍拡の脅威を真っ向から見つめ、日米同盟の堅持を主張しつつも、核保有を含めた自主防衛力を高めることを主張。また徹底的な成長路線でデフレを脱却し、リニア新幹線を含めた交通インフラや、防衛・宇宙、都市開発など、経済効果の高い産業に積極的な投資を行うとしている。

民主党の公約ではここ3年間の失政がさらに続くことになり、自民党の路線では戦後の体制を維持するだけに終わる可能性が高い。確固たる防衛と、飛躍的な経済成長を実現できる党こそが、責任政党たりうる。

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