12月19日に投開票が行われる韓国大統領選は、野党候補が一本化に向けて動き出した。民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)候補と無所属の安哲秀(アン・チョルス)候補は6日に会談を開き、候補の一本化に向けて協議する。

これまでの選挙戦では、与党・セヌリ党の朴槿恵(パク・グンヘ)候補が優勢を保っている。しかし、世論調査によれば、野党候補の一本化が実現し、朴候補と安候補の一騎打ちになった際には、安氏の支持率がわずかに朴氏を上回る。

今回の選挙で特に懸念されるのは、格差是正と対北融和という左傾化したメッセージを各陣営が発信していることだ。現在の韓国の最低賃金は平均賃金の30%だが、文候補と安候補はこれを50%まで引き上げると表明している。朴候補は、経済成長率やインフレ率も考慮するとしているが、最低賃金引き上げの方針は野党候補と同じだ。

だが、一方で選挙対策のバラマキ合戦による、財源不足も懸念されている。韓国のシンクタンクである国家経営戦略研究院によれば、与野党どちらの選挙公約でも年15兆ウォン(約1兆1千億円)程度が不足する見通しだ。

左傾化は、北朝鮮対策でも顕著だ。文候補は、南北の対立姿勢が北朝鮮の核開発を促したという認識を示しており、就任した暁には北朝鮮の金正恩・第1書記と会談して「平和構想」で合意したいと意欲を見せている。また安候補も、これまでに南北で交わした合意を法制化して対北政策に一貫性を持たせると主張。北朝鮮側とは無条件で対話を再開するべきだという考え方を示している。

三候補の中で最も保守色の強い朴候補も、北に対する抑止力強化を打ち出してはいるが、北との対話チャンネルを構築したいとも述べている。ソウルと平壌に南北交流のための事務所を設置する公約を示している他、金正恩・第1書記との首脳会談についても前向きな姿勢だ。

李明博大統領の政策が、格差拡大と北朝鮮との緊張状態を生んだという批判の中、各候補は「李明博的でない」政策を競って打ち出しているように見える。北朝鮮に経済援助などを与える「優しい」政策の行き着く先は、金王朝の延命、韓国の安全を脅かす核開発、北の独裁体制による南北統一、そして民族の不幸であるということを、韓国世論は気づくべきだろう。

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