カナダ・中国間の投資協定が31日に発効するのを前に、安全保障上問題があるという議論が出ている。

この協定では、中国の国営企業がカナダ国内で営業する場合に、カナダ企業と同じ条件で扱われることになる。発効すれば協定は最低でも15年間破棄できない上、破棄した場合でも、すでに進出している企業に対しては、その後15年間は条約の効力が続く。

この協定は差別的というわけではなく、カナダ国内の中国企業の場合と同様、中国国内のカナダ企業も中国企業と同じ扱いを受けることができる。しかし、カナダ国内の中国資本の方が割合としては多く、カナダ経済の方が規制が少なく自由であるため、協定は明らかに中国有利ということになる。

また、条約の効力を制限するような政策をカナダ側が取った場合に、中国企業は賠償を求めて特別仲裁人に訴えることができる。ここではカナダ国内の法律は適用されないため、実質的に中国資本に治外法権を与えるものだという指摘が出されている。例えばオズグード・ホール法学大学院のハーテン准教授は、「協定は憲法に影響を及ぼす。カナダ議会や政府、裁判所、先住民の自治組織、自治体などが中国人の資産に関して下した決定について、カナダの裁判所や他のいかなる裁判所をも介さず、仲裁人が審査できるようになってしまう」と危惧を表明した(23日付「グローブ・アンド・メール」紙・電子版)。

中国は資源を求めてカナダに積極的に進出する構えを見せており、現地石油大手のネクセン社を中国資本が買収する計画も進んでいる。資源を求めてアフリカなど世界中に進出しては、経済援助やインフラ投資などで「属国」を増やしている中国は、北米にも触手を伸ばしているということかもしれない。気づかぬうちに国内の資源を握られているようなことがないように、カナダは警戒すべきである。

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