日韓両国は9日、今月末で期限が切れる通貨スワップの拡大を決めた協定を延長しないと決定した。通貨スワップは金融危機の際に外貨を融通し合う仕組みで、日韓は昨年10月にそれまでの130億ドルから700億ドルへと上限額を引き上げていた。

国内企業や銀行の資本を、極端に外資に依存している韓国経済は、外資が資本を引き揚げれば簡単にクラッシュしかねないという脆さがある。スワップ協定は、危機の際に経済を守るための「防波堤」にあたる。

日韓両国は今回のスワップ拡大枠の停止について、政治的な判断はなかったとしている。しかし、8月に李明博・韓国大統領が竹島に不法上陸して日本を不必要に挑発して以来、拡大枠の打ち切りの議論が日本国内で盛り上がったのは事実だ。

スワップ協定延長をめぐる一連の議論では、韓国政府やメディアを含めた国民性の「卑屈さ」が際立った。竹島騒動の後には「日本とのスワップがなくても韓国は問題ない」と政府側が発信するなどして、韓国メディアもこれを報じた。しかし、9月に訪中した韓国中央銀行の総裁は、2014年に期限切れを迎える中韓スワップ協定の常設化を提案するなど、「日本がダメなら中国」というご都合主義に出ている。

今回の決定をめぐっても、朝鮮日報が「困ったときに冷たかった日本」と題するコラムを掲げるなど、韓国メディアはあたかも日本に非があるかのような演出に余念がない。しかし、自分たちが日本とのスワップを「要らない」と言っておきながら、いざ止めるとなると日本に「冷たい」と言い、中国に助けを求めるというのは、精神分裂の気があると言われても仕方がない。

韓国では日中米の「架け橋」になるべきだという議論がよく出てくる。しかし、節操もなくわがままを言って周辺国を振り回し、それを「国際的影響力」だと思っているのなら、誤解も甚だしい。国際常識を身に付けて責任ある振る舞いができなければ、李明博政権が掲げた「グローバル・コリア」など、ただの笑い種にしかならない。

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