「That's one small step for (a) man, one giant leap for mankind.(一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ)」という名言を残した、人類で初めて月面に降り立ったニール・アームストロング氏が、25日に死去したと、家族が声明を発表した。氏は今月5日に82歳になったばかりだった。

冷戦時代に、旧ソ連がアメリカに先んじて世界初の人工衛星「スプートニク1号」の打ち上げと有人宇宙飛行を成功させたことで落ち込んだアメリカ人が、当時のケネディ大統領の「我われは月に行く」という宣言の後、1969年にようやく成功させた月面着陸。その「アポロ11号」の船長を務めたのが、アームストロング氏だった。この月面着陸成功によって、アメリカ国民は勇気づけられ、自信を取り戻した。

オバマ米大統領は、アームストロング氏は「米国史上、最も偉大なヒーローの一人」であり、「彼の探求心は未知のことに挑むすべての人々の中に、これからも生き続ける」と称えたが、大統領が有人月探査を打ち切ると発表した際には、同氏は抗議の手紙を送っている。

ある時、「自分が付けた足跡が、何千年も月面に残るというのは、どんな気持ちがしますか?」と質問されたアームストロング氏は、「誰かが早くあそこへ行って、消してくれないかな」と答えたという。

遺族は今回、世界の若者がアームストロング氏に学び、「夢をかなえようと努力し、限界に挑んで乗り越え、私心を捨て大義に尽くす」よう望むとの声明を同時に発表している。

宇宙へ旅立つための研究・技術開発は、軍事(武器開発)にも直結するものであるため、冷戦時代には、アメリカと旧ソ連が、互いに優位を競って発展させてきた。

戦後の日本では、国を挙げての取り組みがタブー視されてきた感があるが、今や中国やインドなどの発展途上国が、国威発揚のため国策として取り組む時代になっている。

偉大な先人の一歩を、人類全体の大いなる次の飛躍につなげてゆくためにも、今こそ日本が、新しい世界を切り開くための「宇宙開発」のリーダーとなる気概を持つべきではないだろうか。〈宮〉

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