民主党政権下で、不況は長期化し、国防上の不安が高まっているとはいえ、それでも、つくづく日本は天国だ、と思う。

19日午後、中国の人権活動家の陳光誠氏が、米国へ向かって出国した。

陳光誠氏は、アジアのノーベル賞と言われるマグサイサイ賞を2007年に受賞した盲目の人権活動家。05年に、山東省が、10数万人の女性に中絶や不妊手術を強制したと告発し、06年に交通秩序かく乱の罪で逮捕・投獄された。10年に出所したが、家族とともに自宅で軟禁されていた。

陳氏は、今年の4月26日になって、北京の米大使館に駆け込んで保護と米国への亡命を求めた。それから米国が、陳氏の米国行きを受け入れるかどうか、それを中国が認めるかどうかで、外交問題に発展していた。

来月4日の天安門事件の発生日を前に、中国は、人権問題での批判の高まりを抑えるために、陳氏の出国を許したとされる。

日本で、政府を告発したり、糾弾したりすることで、生命の危機にさらされて、亡命を余儀なくされることは、およそ考えられない。

霞ヶ関周辺でデモをしても、政府糾弾の集会を開いても、基本的に言論の自由が保たれている。新聞・雑誌、そして、本誌本欄も、政府批判を記事にしているが、今のところ投獄される可能性は低い。

政府を批判すると、家族を置いて外国に亡命しなければならない国、それが中国だ。

沿岸部が経済的に急発展して、一見、日本を追い抜いたかに見えるが、その繁栄には、暗い影がある。日本の自由のありがたみをかみしめるとともに、隣国への警戒を怠らないようにしたい。(村)

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2012年5月9日付本欄 【海外メディア読み比べ】陳氏の問題は今後の米中関係を暗示するか

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4266