中国河南省の大学で教える王思想氏が、「尖閣に自由を」と題した記事をブログに掲載したことを、このほど、中国ニュース配信サイト「レコード・チャイナ」が報じた。石原慎太郎・東京都知事が尖閣諸島の購入を宣言したことを受けた発言という。

王氏は、尖閣の所有について、「肝心なのは日本であるか中国であるかではない。もし、専制国家がそれを手に入れようとしているなら、反対票を投じる。私はできるだけ、自由な国に多くの土地を所有してもらいたい」と述べている。

つまり、中国が自由のない専制国家であることを暗に批判しているのだ。

現在、中国では、都市と地方の格差や失業者の増大など、民衆の間に政府への不満が高まっており、政府は軍事費よりも国内の治安維持費に膨大な予算を割いている。また、3万人とも言われる"ネット警察"が検閲を行っている。

しかし、今回の王氏のような発言がなされたことから、その統制にほころびが生じていることが伺える。そして、このほころびは中国の民主化・自由化へとつながる可能性を秘めている。実際に1991年、ソ連は共産党が統制をしていたが、ゴルバチョフがグラスノスチ(情報公開)をしたことが、ソ連崩壊への引き金を引いた。

中国も統制下にあるものの、5億人のインターネット利用者、10億人の携帯電話契約者の間では、積極的に"情報公開"がなされている。昨年7月に中国浙江省で起きた高速鉄道の列車衝突事故の際も、インターネット利用者がネット上に画像をアップし、それを見た国民の政府への不満が増大した。中国では、インターネットを中心として、すでに「自由化への情報革命」が進んでいると言えるだろう。

大川隆法・幸福の科学グループ創始者兼総裁は、尖閣事件が起こった直後の2010年9月、中国について、「『情報革命』対『軍事的な一党独裁』の戦いが、これから起きるわけです」(『この国を守り抜け』)と指摘している。

習近平・次期国家主席就任に向けて言論・情報統制が強化されている中国だが、水面下では、その逆の中国の民主化・自由化が、始まっているのである。(飯)

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2012年6月号記事 2020年中国は民主化する(近未来シミュレーション)-シリーズ日本と中国の未来 第2回

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4197

【参考書籍】

幸福の科学出版ホームページ 『この国を守り抜け』 大川隆法著

http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=55