福島第一原発の事故後、原子力分野を志す学生が減っている、と各紙が報じている。原発再稼動のメドが立たず、政府のエネルギー政策も定まらない中では、やむを得ないことかもしれない。

原発事故で陣頭指揮を執った福島第一原発の吉田昌朗前所長らを輩出した東京工業大大学院の原子核工学専攻の3月の説明会に訪れた学部生は、例年の10分の1だったという。

原発が多くある福井県の福井大大学院は46人から28人で39%減、福井工業大は60人から24人に激減していると伝えられている。

入学だけではなく、就職の面でも原子力離れの傾向が出ているという。若者が原子力業界に夢や希望が持てずに、就職先に他の業種を選んでいるからだ。学生だけではなく、原発の停止や廃炉が続けば、現職の技術者たちも働く場を失うことにもなる。中国や韓国からヘッドハンティングされて、日本の技術と人材が流出すれば、取り返しがつかなくなる。

原発の技術者には幅広い知識が求められている。原子炉物理学、放射線安全学、核燃料サイクル工学など原子力特有の基礎分野に関する専門知識、実習等を通じて実践的な技術・技能の習得。原子力プラントの開発・建設・運営には、原子力工学のみならず、機械・電気・材料・化学等多くの基盤技術分野の知識が不可欠だという。多くの歳月を経て人材が育っていくのだ。

M9.0の巨大地震でも原発は正常に停止している。原発そのものは何ら問題がなかった。東日本大震災は、日本の原発の優秀性を証明した面がある。震災後、アメリカや中国など海外から注文がきているのは、日本の原発の技術が高く評価されているからだ。

原発は少量のウランやプルトニウムから、半永久的にエネルギーを取り出し続けることができる、人類にとって非常に便利な夢のエネルギーだ。政府は原発の重要性を認め、原子力の技術者たちが途切れることがないように人材を育成していかなくてはいけない。(静)

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