11月の米大統領選挙で、共和党の公認候補となるロムニー前マサチューセッツ州知事の外交政策について、不安の声が高まっている。

ロムニー氏はこのほど、2014年に米軍が完全撤退を目指すアフガニスタンについて、「タリバンと交渉なんてすべきでない。タリバンは倒さないといけない」と語るなど、強硬姿勢を示している。しかし、ピュー・リサーチ・センターによる最新の世論調査によれば、アメリカ国民の60%がアフガンからの米軍の早期撤退を求めており、ロムニー氏のスタンスは支持を受けそうにない。

さらに問題なのは、ロムニー氏の言うタリバン掃討には長い時間がかかるが、本人は2014年の撤退期限を破棄するつもりではなく、具体策を示せずにいることだ。

強いレトリックとは裏腹に具体策を示せないのは、イランの核問題でも同じだ。ロムニー氏は「オバマ氏の再選はイランの核武装を招く」と舌鋒鋭く述べるが、具体策となると目新しさはなく、経済制裁を基調としたオバマ氏の政策とあまり変わらない。

ロムニー陣営はこれまで、オバマ大統領の外交政策を弱腰と批判し、強い姿勢をアピールすることで支持を集めようとしてきた。人民元の為替操作で輸出を増やしてきた中国については「大統領になったその日に為替操作国に指定する」と豪語し、ロシアは「一番の地政学的な敵」と名指ししている。

しかし、過激なタカ派の姿勢は露骨な選挙対策に見えると同時に、大統領として現実的な外交の舵取りができるのか疑問を抱かせる。ワシントン・ポストとABCの調査では、外交政策で信頼できるのはオバマ氏と答えた人の割合は53%で、36%のロムニー氏は大きく水を開けられている。

ロムニー氏の強硬な外交政策は、いずれ路線変更を迫られるという見方が強い。しかしこれまでにも妊娠中絶や健康保険の問題で立場を翻し、「ブレる」と批判を受けてきたロムニー氏にとって、外交政策でも同じ轍を踏めば有権者がどれだけついてくるのかわからない。

本誌がレポートした守護霊インタビューで、ロムニー氏の守護霊は台湾を中国の一部と勘違いするなど、外交にはまるで興味がない様子だった。外交政策を票集めの手段としてしか見ることができないなら、ロムニー氏は世界の秩序に責任を持つアメリカの大統領としてはふさわしくない。実際にロムニー外交が空中分解する前に、現実に即した外交戦略を打ち出すことを強く望みたい。

【参考書籍】

幸福の科学出版ホームページ 『ネクスト・プレジデント2』 大川隆法著

http://www.irhpress.co.jp/detail/html/H7019.html

【参考記事】

2012年4月6日付本欄 【新聞読み比べ】 ロムニー氏優勢 日本の行方は?

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4090

2012年4月号記事 「強いアメリカ」を復活させるのは誰か ギングリッチ、ロムニー、サントラム守護霊インタビュー

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3874