日本原子力研究開発機構が26日、福島第一原発事故で放射能に汚染された土壌についての、除染モデル事業の結果を報告した。27日付朝日新聞、読売新聞が報じた。

効果的で効率的な除染方法を探すため、国は昨年11月以降、11市町村の宅地や農地、森林など15ヵ所でさまざまな除染方法を試した。例として、農地では、地中と表面の土を入れ替える「天地返し」で80%の線量低減効果があり、汚染土の仮置き場が要らないため有望な方法だという。

朝日の記事の見出しは「高線量地の除染難航」とある。同記事によれば、除染前の最大値は大熊町役場周辺の年間65ミリシーベルトだったが、除染後のその場所の一部が年間38ミリシーベルトにとどまり、国の基準である年間20ミリシーベルトを下回れなかったためだ。

だが実は、除染前の年間65ミリシーベルトという値でさえ、「高線量」と呼ぶのはフェアでない。なぜなら

「ICRP勧告では、(年間)100ミリシーベルト以下では身体に症状が生じるような放射線障害は起こらない、としています。むろん、がんになったという報告もありません」(岡山大学大学院、放射線健康科学の山岡聖典教授。下記の記事より)

「年間100ミリシーベルト以下は健康被害が報告されていない」ことこそ、国民が第一に知るべき数字である。にもかかわらず、調査対象の中で相対的に高い値だからといって、年間65ミリシーベルトを「高線量」と表現するのは、いたずらに国民の不安をあおり、除染に必要以上のコストを掛けさせることにもつながる。反原発の意図が透けて見える、トリック的な報道には注意が必要だ。(居)

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