新潟県庁近くの民有地約4500坪が、中国政府に対して売買契約されたことに関して、8日付産経新聞で櫻井よしこ氏が「恥ずべき国土売却」と指摘している。

在新潟中国総領事館の建設用地取得は、2010年9月に起きた尖閣問題で対中感情が悪化し、地域住民の反対が起きて頓挫していた。だが、2011年7月に北京に完成した新しい日本大使館について、中国側が「違法建築」を理由に使用を認めず、その際に、中国が新潟と名古屋で進める土地取得に便宜を図るよう求めた。

これに対し、日本政府が今年1月、「中国側の要請に、関連国際法に従って協力する」と答えると、中国側はその2日後に北京の日本大使館の使用を認めたという。つまり日本政府は、中国の揺さぶりに屈して国土を売り渡したということだ。

感情的に中国を排斥することは控えたいが、社会主義の中国では、土地の所有権は「国家所有または農民の集団所有に属する」とされ、私有が認められていない。そのため、中国にある日本の大使館や領事館の土地はすべて賃貸である。両国の関係が相互主義(互恵主義)に基づくならば、日本政府は中国側に土地を買わせず、貸すだけにとどめるべきだろう。

アメリカでは相互主義に基づいて判断されるため、中国政府に対しては一切、土地の所有を認めていない。国の安全保障や公共の利益に反すると判断されれば、事後であっても民間企業などによる土地の取得を無効にできるという。

新潟の件について、櫻井氏が「北京の日本大使、丹羽宇一郎氏らの気概なき外交」と批判するように、中国政府の脅しに屈した形の国土売却は、日本外交の悪しき前例である。(居)

【関連記事】

2010年11月号記事 【201X年 日本再占領!?】(1)イントロダクション

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=74