米国政府系放送局のラジオ自由アジアが5日までに報じたところでは、3日に中国甘粛省甘南チベット族自治州マチュ県で女子学生が、4日には四川省アバ・チベット族チャン族自治州アバ県で四人の子供を持つ女性(32歳)が続けて焼身自殺をした。

人権擁護団体の推定によると、最近1年間で報告されたチベット独立を訴える焼身自殺はこれで20件を越えたという。3月は2008年に起きた最大規模の暴動をはじめとする事件が今まで起きているため、中国当局は警戒を強めている。

こうした抗議行動は国際社会へのアピールのためのものが多い。彼らにとって、中国からの独立や、信教の自由、言論の自由を訴える方法はもはやそれしか残っていないのだ。そのアピール対象には当然日本も含まれる。

チャイナ・ウォッチャーの有本香氏が2月下旬にネット上で発表したコラムによれば、チベット亡命政権の日本代表であるダライ・ラマ法王日本代表部事務所のラクパ・ツォコ代表が2月、野田佳彦首相及び玄葉光一郎外相宛に親書を届けたという。以下はコラムに引用された親書の一部。

「チベットの状況は緊急かつ劇的なものとなっております。国際社会の皆様が、一刻も早く、強いメッセージをもって答えてくださることを切望しているのです。そのメッセージは、深い絶望の淵にある本土のチベット人らに、希望と啓示、生きる勇気を与えることとなるでしょう。閣下におかれましては、ジュネーブで開かれる国連人権委員会にて、チベットの問題への関心を表明してくださいますよう、お願い申し上げます」

今の日本は財政問題、震災復興など課題が山積し、「他国の問題に手を貸している場合ではない」といった風潮が強い。だが、世界の経済大国である日本に対し、国際社会における正義を断行することを求めている国がたくさんあることを、日本人は忘れてはならない。(光)

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2012年1月8日付本欄 チベットでまた僧侶が焼身自殺

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2011年11月8日付本欄 チベット僧侶の「自由を求めて燃え上がる情熱」

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3235