日銀が2月14日に追加金融緩和と事実上のインフレ目標導入を打ち出したことで、円安と株価上昇が一気に進んでいる。

23日の円相場は対ドルで80円台と半年ぶりの円安水準。日経平均株価も一時9600円台を回復した。

野田首相は「市場を含め評価を得ている」と絶賛し、民主党内からも「日銀はよくやった」と声が相次いで出た。ただ、逆にいかに日銀がこれまで効果的な手を打っていなかったかを浮き彫りにした。

インフレ目標を導入したと言っても、「動かない日銀」の姿勢は今もそう変わるわけではない。アメリカの中央銀行FRB(連邦準備制度理事会)が「2%のインフレ目標」を設定し、達成できなければ責任を取るという姿勢を示していることからすれば、明らかに腰が引けている。日銀の白川方明総裁が設定した「1%」は低すぎるし、「目標」という言葉を避け、「目処」というあいまいな表現にとどまっている。

本誌では、リニア新幹線や防衛産業への投資などのために国債を発行し、1年で数十兆円規模を日銀が引き受ける形の金融緩和を主張してきた。そうした大胆な政策によって初めて、安定的な円水準と、日経平均1万円以上から2万円にかけての株価が実現できるからだ。

日銀がわずかに金融緩和しただけでも、円相場と株価が反応したわけだから、白川総裁の尻をもっと叩いて、日銀を動かさなければならない。(織)

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