大阪市は20日、3月末に早期退職する職員が、想定数の370人を2倍以上も上回る650人に増えたため、377人分の退職金89億5900万円を追加計上する補正予算案を発表した。

早期退職制度は、退職金が最大2割も積み増しされるため、職員給与の大幅カットを掲げる「橋下改革」を恐れて、駆け込み的に退職する職員が増えたのではないかとも見られている。

3月末の退職者は定年退職の696人を合わせた1346人。そのうち早期退職者がもっとも多いのは、橋下市長が「地下鉄やバスの運転手の給与水準を民間並に引き下げる」との方針を示した市交通局で、想定人数の3倍以上の217人に上った。これは昨年比の実に18倍の人数だという。

橋下市長は、市交通局のトップとなる交通局長に、京福電鉄(京都市)の藤本昌信・副社長を招聘することを9日に発表し、「民間経営の手法を徹底してほしい」と、将来の民営化を明言した。

藤本氏は関西の電鉄業界では「リストラの鬼」として知られる人物だが、組合との関係や労務管理にも長けており、ムダを排除する一方で業績を伸ばして京福電鉄を経営危機から脱却させた手腕が、橋下市長に買われたようだ。

約3万8千人の職員を抱える大阪市の人件費は年間2300億円超。市税収入約6200億円の4割近くが充当されている計算になる。市人口1万人当たりの職員数は147人で、横浜市の77人と比べるとほぼ2倍。これでは運営効率が悪いと言われても仕方がないだろう。

「民間並」を目指し、民間の知恵と人材を投入する橋下流の大胆な「外科手術」が功を奏するのかどうか注目していきたい。〈宮〉

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http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3603