東京電力が4月から企業向けの電気料金を値上げすることが波紋を呼んでいる。

32年ぶりとなる値上げは、工場やオフィスなど大口の事業者を対象に、平均で17%の値上げを実施する。

節電に散々協力した上での値上げに、企業側の反発は小さくない。

実際に、この決定を受けて、自家発電設備の増設や、東電の管轄外への工場移転などを検討する企業が増えている。

東電が値上げするのは、原発の稼動停止で、火力発電のウェイトが高まり、燃料費が増加するからだ。

しかし、値上げを嫌がる大企業が「東電外し」に動けば、東電は燃料費のコスト増を賄えなくなる。すると、次には小口の利用者や家庭向けの電気料金の値上げに向かうことになる。実際に東電は一般家庭向けの値上げの検討に入っている。

結局、バカを見るのは、中小企業や個人ということになる。

ただでさえ、デフレが進行するというのに、電気料金を値上げすれば、企業の収益を圧迫する。収益の圧迫は、人件費の削減をもたらす。賃金が低下し、失業が増えれば、不況は益々深刻になる。赤字企業が増えれば税収も減る。

この悪循環を防ぐ方法は簡単。原発を再稼動すれば済むだけの話だ。原発輸出に踏み切った民主党政権なら、その"英断"が下せるはずだが。(村)

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2011年12月23日付本欄 「東電国有化」に見る左翼の論理

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3549