中国チベット自治区からのスパイが、インドに亡命中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世(76歳)の暗殺を企てているとの情報があり、警察当局は警備強化に乗り出したと、7日付のインド紙タイムズ・オブ・インディアが伝えた。

警察の報告書は、ビジネスマンを装った多くの中国人の若者がインドに入国しているとして、反ダライ・ラマを掲げる中国人の活動を厳しく監視する必要性を強調している。

中国政府のチベット弾圧に抗議するため、僧侶の焼身自殺が相次いでおり、ダライ・ラマを暗殺することで、チベット人の信仰を支えとした「中国支配への抵抗」の動きを弱めようとする狙いがあるのかもしれない。

中国ではチベット仏教徒の他にも、ウイグル族のイスラム教徒、政府非公認の地下教会のキリスト教信者への弾圧を続けているが、人間が生きてゆく上でいちばん大切な「信仰の自由」を奪うことは、決して許されるものではない。

歴史をひもといてみても、古代ローマ帝国の激しい弾圧にもかかわらず、キリスト教徒たちの信仰心は消えず、やがてローマ帝国の国教となり、その後、帝国は滅亡したが、キリスト教は今もなお世界三大宗教の一つとして多くの信者がいる。

中国は、著しい経済発展を遂げて先進国の仲間入りを果たそうとしているが、信仰や宗教の大切さを認めない限り、他国から信頼される国として受け入れられることはない、ということを理解すべきであろう。〈宮〉

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2011年11月8日付本欄 チベット僧侶の「自由を求めて燃え上がる情熱」

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3235