野田佳彦首相は28日、インド・ニューデリーで、シン首相と会談し、経済や安全保障などの分野で協力を確認。海洋進出を進める中国を牽制する意味合いの強いものとなった。

経済分野では、デリー・ムンバイ間の産業基盤を整備する「産業大動脈構想」に対して、日本が5年間で45億ドル(約3500億円)規模の融資を行うことや、国際的な金融市場の混乱時に、両国間で外貨を融通し合う通貨スワップの協定枠を、これまでの30億ドル(約2300億円)から150億ドル(約1兆1500億円)と5倍に拡大することで合意した。

安全保障分野では、2012年に海上自衛隊とインド海軍が、日印の2国間では初となる共同訓練を実施することを確認。会談に先立つ講演で、野田首相は「日印両国はアジアの海洋国家としてシーレーンの安全を含む海上安全保障に死活的な利益を有する」と、明らかに中国を意識した発言を行った。

その中国は、パキスタン、スリランカ、ミャンマーなどに港湾拠点を置く「真珠の首飾り」戦略で、インド洋での軍事的な存在感を増しつつある。これに対して、インドは、アフリカ東部から中東、東南アジア諸国と連携する「ダイヤのネックレス」で応戦を試みる。

インドのラジュ国防国務相は、27日付日経新聞のインタビューで、「日印間で(軍事関連の)合弁事業や技術の共有化を目指す協定の締結は不可欠」「日本は安全保障上、アジア太平洋地域の重要な『戦略的パートナー』」「インドは『ダイヤのネックレス』戦略を進める」などと話している。

インド洋は、中東から石油などのエネルギーが運ばれてくるシーレーン(海上交通路)であり、日本にとっても重要な海域。弊誌でも「日印同盟」を結ぶことを提言してきた。日本は、民主主義の価値を共有する国々と共に、軍事独裁の中国の包囲網を築いて「悪を犯させない」ようにして、民主化こそが国民を幸せにする道であることを訴え続けなければいけない。(格)

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