TPP反対派の声はなお強く、その中心は農業と医療だが、17日付日本経済新聞は「農業・医療 再生今こそ」「TPPを機にピンチをチャンスに」と書いている。

同記事の要旨は以下の通り。

  • TPP参加で農業団体は「安い農産物が流入すれば農業は壊滅する」と主張する。だが、日本は高い関税で主要な農産物の輸入を閉ざし、コメは生産調整(減反)を通じて価格競争も抑えてきた。株式会社など新たな担い手の参入も制限し、新規就農者は思うほど増えない。一方で耕作放棄地は拡大を続ける。
  • サクランボは77年に米国産の輸入が解禁、この時も「壊滅する」と反対運動が起きた。だが、30年を過ぎ、山形県のサクランボは高級品種として知名度が高まり、同県の生産量は逆に1.3倍に増えた。
  • 日本医師会は「TPPに参加すれば国民皆保険が崩壊する」と主張するが、構図は農業と似ている。
  • 農業も医療も「閉ざす」ことによって制度を維持してきた。結果的に既得権益を生み、必要な改革は置き去りにされた。攻めの開国は日本の弱点を強みに変える好機だ。

おおむね本誌の主張と一致している。要は「規制を撤廃」して「自由の領域」を広げ、「健全な競争と努力によって成長する」方向は、善なのだ。

どうも反対派の声を聞くと、「アメリカにいいようにやられてしまう」という被害妄想の気がある。しかし、日本の戦後の成長の中で、常に関税や規制の撤廃は行われてきた。その中で日本の産業は鍛えられ、世界に冠たる地位を築いてきたのだ。

農業、医療とて、日本の技術は世界トップクラスだ。いたずらに保護に走るよりも、「大国」としての気概を見せるべきだ。

だが、「腰かけ」野田首相には多くは望めまい。ここについては、外交交渉で実績のある官僚に頑張ってもらうべきだろう。(仁)

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