ギリシャやイタリアのユーロ離脱が現実の課題となってきた。

ギリシャやイタリアなど高債務の南欧諸国をユーロから離脱させ、経済的に強く、財政的にも安定した国を残す案が、ドイツ、フランス、ベルギーなどのEU当局者で検討されていると欧州内の複数のメディアが報じている。

独仏が描いているのは、独仏やオランダ、ベルギー、ルクセンブルグなどを中核国としてサイズを縮小しながら、税制や財政の統合を進めていくというプランだ。

メルケル独首相とサルコジ仏大統領は2日、先のフランス・カンヌでのG20首脳会議で、ギリシャのユーロ離脱はやむを得ないとの考え方を示した。

さらにメルケル首相は9日、ユーロ離脱規定を盛り込むEU基本条約改正にも言及。同首相が率いる独与党キリスト教民主同盟は、EU基本条約改正を求めている。サルコジ大統領は独仏など中核国と他の国を二層に分けたユーロ圏構想を温めているという。

米インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙は11日付で、「ユーロを離脱するには」というカリフォルニア大アーバイン校のStergios Skaperdas教授の論文を掲載している。

「長期的にはギリシャはデフォルト(債務不履行)して、ドラクマ(ユーロ加入前の通貨)に戻ったら、経済成長と雇用のチャンスがより大きくなる」

「ユーロを離脱すれば、ギリシャは自国の金融政策が可能になる。今のギリシャは信用性や流動性が大きく落ち込んでいるので特に重要だ」「海外からの旅行者や輸出が増え、ギリシャの競争力が増す」

独仏などが中核ユーロ圏を形勢できるかは分からないが、少なくともギリシャなど高債務国の離脱はすでに規定路線となった。

問題は、通貨切り替えをめぐる混乱をいかに最小限に抑えるかだ。

それにしても、日本はEU経済圏の危機に対し本当に蚊帳の外でいいのだろうか。麻生政権時代にはサブプライム・ローン危機の際、IMFに10兆円の資金支援を行い、各国首脳がこぞって感謝を表明した。日本の支援が金融危機を止めるための大きな役割を果たしたと評価したからだ。

日本もEU危機の当事者たり得ることを認識しておきたい。(織)

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http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=1497