中国が9月27日から30日にかけて、宇宙ステーションの実験機「天宮1号」を打ち上げると中国当局が明らかにした。ロイター通信が伝えている。以下要約。
  • 天宮1号は小さな宇宙実験室で、その後、無人宇宙船「神舟8号」を数週間後に打ち上げ、宇宙空間でドッキングをする予定。
  • 天宮1号の打ち上げはちょうど10月1日の国慶節の直前になるため、国威発揚ムードが一気に高まることになる。
  • ロシア、アメリカと13カ国は国際宇宙ステーションに参加しているが、中国は参加していない。北京政府はアメリカやロシアなど宇宙大国にまだ追いつけないが、天宮計画は、中国としての宇宙ステーションを造るものだ。
  • 中国はあと2回の天宮発射で、宇宙飛行士を送る計画。それが宇宙ステーションの準備となる。
  • 中国は隣の日本やインドよりも宇宙でより大きな存在感を示し、その計画は国際的な不安をかきたてる。北京政府は「平和的な目的だ」と言ってはいる。
  • 米海軍大学のジョンソン・フリーズ氏は「多くの宇宙技術は民生用にも軍用にも使える。NASAの技術的成果と同様に、中国の宇宙技術は軍事的に利用されるだろう」と語る。
中国は1980年代半ばから「宇宙軍」計画を進めてきた。その最終目的が宇宙ステーションの建設で、そこからレーザー兵器でアメリカの偵察衛星を破壊することである。偵察衛星が破壊されれば、米軍は「目潰し」にあったようなもので、ミサイル防衛や防空体制が機能しなくなる。
この計画の完成は2020年。これが米中の軍事バランスが拮抗するか、逆転するターニングポイントになりそうだ。(織)