世界には、常識では考えられない不思議な国がある。南米ペルーの大統領は、麻薬製造関係者を支援しようとしているという。

ペルーは09年にコロンビアを抜き、世界一のコカイン生産国となった。そのペルーの大統領に今年6月に就任したオジャンタ・ウマラ氏は、このほど不法栽培を含めたコカインの栽培者数を調査する方針を打ち出した。表向きには規制強化に向けた調査にもとれるが、一方で「不法栽培者へ許可を与えるつもりではないか」とペルー大手紙は指摘する。

コカインの栽培許可の権限を持つNGO団体「DEVIDA」の代表リカルド・ソベロンは、「不法栽培をしている全ての人に栽培許可を与える」ことを示唆した。これに対し、ウマラ大統領は肯定も否定もしないのだという。

ウマラ大統領は就任以来、麻薬製造関係者へ便宜を図る行動が見え隠れする。大統領選でウマラ氏はコカイン栽培の産業化をほのめかし、支持を得てきたからだ。

「極左」と言われる同氏は、貧困問題の解決の糸口が見えないペルーで急進的に支持を集めた。

麻薬業界と直結した人物を大統領に選出するというのは、日本の常識からは考えられない。しかし、そういう国があるということも知っておかなければならない。(岸)