独立行政法人海洋研究開発機構は4日、鹿児島湾の海底で熱水が噴き出している領域を改良型の音波探知機(ソナー)でとらえ、従来より鮮明な画像を得るのに成功したと発表した。5日付日本経済新聞によると、海底の広い範囲を効率的に探査できる技術で、海洋機構の沢隆雄技術研究主任(水中工学)は「レアメタルなどの資源が豊富に眠る海底熱水鉱床を探すのに活用できるだろう」と話している。

レアアース世界生産量の9割超を占める中国が、輸出枠の削減を進めている今、輸入国である日米欧では代替材料やリサイクル技術の研究開発を中心に協調していく動きが出てきている。そうした研究も不可欠だが、本誌1月号でも紹介したように、レアアースやレアメタルなどの希少金属を含む海底資源は、世界の中でも日本の海底に密集して存在している。また、日本のEEZ(排他的経済水域)に眠るメタンハイドレートの埋蔵量は、国内の天然ガスに換算して約90年分に上るという試算もあり、今月5日から海洋研究開発機構の探査船「ちきゅう」を使った掘削調査が実施される。

海底地質の調査など、日本の海洋開発の技術は世界最先端であり、国の資源・エネルギー戦略として重要な鍵を握るのは間違いない。本欄でも取り上げたように同機構は、海底の地形を速く精密に撮影できる新型ソナー(水中音波探知機)を開発するなどの業績を上げている。本誌や本サイトが提言してきたような、投資効果を見込める海洋開発の分野への積極投資的な動きを、政府は後追いで、遅ればせながらやり始めている。(雅)

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