【名画座リバティ (19)】それでも人類は星の海に船出する──『2001年宇宙の旅』

2026.02.01

2001: A Space Odyssey

寒い日が続きますが、映画ファンの皆様、お元気ですか。

寒いと体が縮こまりますね。筆者も年齢と共に、寒さがひとしお身に沁みるようになりましたが、心、精神のほうは、お互い、いくつになっても縮こまりたくないものです。そこで今回は、現在全国の「午前十時の映画祭」実施劇場で公開中の『2001年宇宙の旅』をお勧めします。くたびれかけた精神を再覚醒させ、若い世代が映画の教養を積むうえでも必見の、SF映画史上の金字塔です。

本作が公開された1968年は、人類がアポロで月に降り立つ前年。今から60年近くも昔ですが、ふり返れば現代よりもあの頃のほうが、人びとは科学や宇宙への夢をふくらませていました。本作には、そんな時代のワクワク感が息づいていると同時に、それが単なる希望的な夢でなく、人工知能(AI)が人間に反乱を起こす悪夢をも描いている点に、アクチュアルな先見性があります。

(あらすじ)

300万年前、人類の祖先は謎の黒い直立石(モノリス)が発する力により、初めて道具を使うことを覚えた。2001年、人類は月面に同じモノリスを発見し、その神秘を解明するミッションを託して木星に探査隊を派遣する。途中、宇宙船をコントロールするコンピュータHAL(ハル)が異常な動きを起こすが、最終的に船長のボーマンは人類未曽有の意識覚醒を体験する。

本作は以後のSF映画に測り知れない影響を与えました。いくつか特徴を挙げれば、2時間半の上映時間中、会話の場面が約40分と非常に少なく、ナレーションもなく音楽の使用も限られているため、観客は自分も無音の宇宙空間を旅しているような悠久の感覚に包まれます。台詞のない音楽シーンの「映像詩」的効果も素晴らしく、ワルツ「美しく青きドナウ」をバックに宇宙ステーションが優雅に回転するといった映像と音楽のマリアージュの妙は、映画にしか成し得ません。

そして映像面であまりにも有名なのが、類人猿が道具として用いた動物の骨が宙に舞い上がった次の瞬間のショット転換です。これは映画史上最も優れた映像的比喩として語られています。鬼才キューブリック監督のこれら数々の発想は、半世紀以上が経った今も色あせていません。

作品の土台にあるのは、原作者で脚本も共同執筆している巨匠SF作家クラークの壮大な世界観です。人間が猿から進化したという、幸福の科学が明かしている真理とは異なる唯物論的見解は、1960年代という時代性を考えればやむを得ないかもしれません。しかし終盤に描かれるボーマンの意識覚醒や、ラストに映る"あの存在"は、唯物論の枠を超えています。原作小説には人類の進化に関するこんな文章があります。

「少数の生物学者は、さらにその先へ進んだ。多くの宗教にある信念を手がかりに、彼らは精神もいつかは物質の束縛を逃れるだろうと推測した。ロボット身体も、血と肉の身体と同様にたんなる踏み石であって、やがては人びとが遠いむかし"精霊"と呼んだものに至るのかもしれない。そして、そのまた向こうに何かがあるとすれば、その名は神のほかにあるまい」(『2001年宇宙の旅』ハヤカワ文庫、伊藤典夫訳)

ラストに映る"あの存在"は、大川隆法・幸福の科学総裁が明かしている、人間から見れば神近き進化をとげた「惑星意識」に関し、クラークがインスピレーションを受け、それを預言者的にSFで表現したものと言ったら言いすぎでしょうか。大川総裁の著書『永遠の法』には、人間の意識の進化について、こうあります。

十次元の世界というのは、惑星意識といわれる人びとの世界です。(中略)そして、十次元世界の上には、十一次元世界である太陽系世界があります。(中略)その上には、十二次元として銀河系意識があり、(中略)こうして、人間には分からない、偉大なる根本仏の世界へと続いていくのです。

このように、人間は無限の目的地を持ち、無限の進化を歩みながら生きています。そして、そのなかで進歩と調和を実現しようとしています。これが、人類を取り巻く世界であり、人類の生きていく道標であり、その目的でもあるのです

人間は、根本仏=創造神に向かって無限に進化するという、遠大な目的を与えられています。ゆえに、たとえAIに反乱を起こされても、多くの犠牲を伴っても、人類は遥かなる「星の海」──原作に出てくる表現──に、本格的に船出していくことでしょう。本作の原題にあるodysseyとは長い冒険の旅のことであり、古代ギリシャの神話的叙事詩『オデュッセイア』の英雄オデュッセウスの名に由来しています。宇宙飛行士ではない私たちも、心の世界でオデュッセウスの如く航海に乗り出すことは可能です。映画史を画したこの意欲作を観て、自らの意識にインパクトを与え、無限の進化に向けて旅立つ「心の冒険者」たらんと志してはいかがでしょうか。

(田中 司)

『2001年宇宙の旅』

【公開日】
2026年1月30日~2月26日(劇場により異なります)
【スタッフ】
監督:スタンリー・キューブリック
【脚本】
脚本:スタンリー・キューブリック アーサー・C・クラーク
【その他】
1968年製作 | 150分 | アメリカ

【関連書籍】

『永遠の法』

大川隆法著 幸福の科学出版

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タグ: 名画座リバティ  SF映画  2001年宇宙の旅  アーサー・C・クラーク  スタンリー・キューブリック  AI  進化  宇宙 

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