安倍晋三首相はイギリスのデーヴィッド・キャメロン首相と17日、主要国首脳会議(G8)が開かれている英ロックアーンで会談した。両首相は安全保障についての協力強化で一致し、機密情報を交換する際の情報保護協定や、化学防護服の共同開発について取り決めた。安倍首相は、両国首脳ホットラインの開設なども提案したという。18日付各紙が報じた。

今回の化学防護服の共同開発は、日本が2011年に武器輸出禁止3原則を緩和した後、アメリカ以外の国との防衛装備品の共同開発で初の案件となる。近年の国際テロ活動の活発化を受けて、化学兵器に対応するための化学防護服は重要さが増している。日本は防護服について先端技術を持っており、イギリスは水や空気を通さない布を作ることのできる、その技術を欲しがっている。

会談では、化学防護服以外の共同開発も視野に入れ、技術の第3国移転に関する協定を結ぶことも決めた。日本とイギリスは、共に大陸に近い島国であるため、国防で必要となる軍事技術が似てくるという点も、共同開発の利点となるだろう。イギリスの防衛産業の強みのひとつである、シーレーン防衛などのために必要なソナー技術などに、日本は期待できるという。

また、情報保護協定については、イギリスは中東などに情報網を持っている。この地域への原発輸出を進めたい日本としては、1月のアルジェリア人質事件のようなテロ対応時に、イギリスからの情報が期待できる。

今年は日英の交流が始まって400年目の記念の年であることも手伝い、日本とイギリスの仲は深まりつつある。エリザベス2世の次男であるアンドルー英王子は今秋、新たな日英同盟を考える国際会議を提案している。そこでは日英安保のあり方や、サイバー防衛などについて話し合うという。

遠交近攻ともいうが、共に島国と地理的条件が似ており、かつ強みが異なる日英が協力することで、互いに得るものは多い。どんどん"日英同盟"を深めたいものだ。(居)

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