日本青年会議所(JC)がこのほど、各政党の回答をまとめた「政党マニフェスト比較冊子」を作成した。新聞やテレビが報じない幸福実現党を含む13政党の主張を載せている公平な点や、国家像や外交など7項目について、各党の性格が如実に表れている点で興味深い。

まず、冒頭の「政党理念」の項目で驚くのが、日本維新の会、新党改革が「記載無し」としていること。「政党理念はありません」と言っているようなものである。また、嘉田由紀子・滋賀県知事が率いる日本未来の党は、「全ての原発が確実に廃炉となる『卒原発』への道のりを定めます」と、「政党理念イコール卒原発」という何とも理解しがたい主張を披露している。

「国家像」の項目では、日本未来の党、社会民主党、新党大地・真民主の3党が「記載無し」。国家観が希薄な社民党、地域政党色の強い新党大地はともかくとして、第三極を狙う日本未来の党が「国家像」を持たないのであれば、第三極どころか国政政党足り得ない。また、民主党は「官から民へ、国から地方へ、『新しい公共』と地域主権を確立」とし、日本維新の会も「中央集権型から地方分権型国家へ」と主張する。だが、中国・北朝鮮の脅威が目前に迫り、国の迅速な意思決定が必要とされる今、「幕藩体制に戻せ」という主張はあまりにもピントがずれている。沖縄の反米軍運動を見ても分かるように、国家が地方に振り回され、結局、国全体が危機に陥る。

「財政・税制政策」は、民主党が「消費税増収分は社会保障の財源。引き上げの際、低所得者への給付措置」とする一方、自民党は「消費税は段階的引き上げが決定しているが社会保障制度改革国民会議を経てその判断を内閣が行う」と曖昧な表現で逃げている。もっとも歯切れがいいのが、幸福実現党の「当分の間、財政破綻はあり得ない。消費増税は中止すべき。早期の景気回復のために、法人税率半減等の減税実施や、新たな成長分野への重点投資を行う」という主張だ。

他にも、「憲法」の項目では、現在、政権与党の民主党が「憲法を活かし、『国民主権・基本的人権の尊重・平和主義』を徹底」と簡単な一文のみで、のんきな一国平和主義を貫いている。また、日本未来の党、公明党、新党改革、新党大地・真民主が、いずれも「記載無し」。発表するほどの意見を持ち合わせていないかのようだ。

「外交・安全保障」では、国民新党が「沖縄における過剰な米軍基地負担を全国で分かち合うための環境整備」。社会民主党が「オスプレイ配備、全国での低空飛行訓練音実施に断固反対します」と、現在、日本に迫る危機を無視した主張を掲げる。そんな中、幸福実現党は「憲法9条改正、もしくは憲法解釈の変更により自衛隊を軍隊と位置付けるほか、抑止力としての核武装など自主防衛体制を強化」と、大胆に核武装まで踏み込んでいる。これは、国民の生命・財産・安全を守るという責任感の裏返しと言えよう。

JCは、ホームページで冊子作成の趣旨について、「前回の総選挙後から今日までのマニフェストに対する社会の評価を危惧しています。マニフェストはうそつきではなく、国民の皆さまからの信頼と付託に応えられるものではないといけません」と記し、前回2009年の衆院選で「うそ」をついた政党を牽制する。なお、冊子はホームページからダウンロードが可能だ(下記の【関連記事】参照)。

消費増税や原発などの国内問題のみならず、中国・北朝鮮の脅威をはじめとする日本を取り巻く国際情勢を含めた視点でこれらのマニフェストを比較したとき、日本の未来に責任を持つのはどの政党か、それがはっきりと見えてくるだろう。(格)

【関連記事】

日本青年会議所作成の「政党マニフェスト比較冊子」(pdfファイル)

http://jaycee.or.jp/shiryou/hikaku_manifesto.pdf

2012年衆院選 最新情報 日本危うし! 「救国」政党はどこだ?

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5201