日本政府は「海洋基本計画」の本格的な見直しに着手した。中でも、メタンハイドレートなどの資源開発を2018年に商業生産する目標の前倒しについて、総合海洋政策本部の参与会議で議論されている。6月7日付日本経済新聞が報じている。

これは、国連の大陸棚限界委員会が4月に日本の大陸棚として太平洋の4海域(四国海盆海域・小笠原海台海域・南硫黄島海域・沖大東海嶺南方海域)約31万平方キロメートルを認めた勧告に対する、日本政府の対応だ。日本は大陸棚の海域で海底資源の採掘権などを主張することができる。

政府は2月から3月にかけて、(今回認められた大陸棚ではないが)愛知県・三重県沖の東部南海トラフ海域でメタンハイドレートの採掘作業をした。来年1月には、同海域で採掘されたメタンハイドレートから天然ガスを取り出す世界初の産出試験を始める。

日本は天然資源の大部分を海外からの輸入で賄っているが、中東の産油国では資源ナショナリズムが高まりつつある。一方国内の原子力発電機はすべて停止しており、エネルギーの安定供給が危ぶまれている。こうした状況で日本が自国の領域内で海底資源を採掘することは、大量の資源を国産で賄えるという大きな利点があり、エネルギー安全保障の強化にもなる。

だが、解決すべき課題もある。確立された技術プランがまだないため、将来海底資源の商用化を目指すなら、さらなる技術革新が求められる。また、一連の開発には莫大な予算がかかるため、政府主導の開発を進める必要もある。

おりしも1月の改正鉱業法施行で、政府主導による海洋資源の採掘が可能になり、外国船などの違法な資源探査の規制も加えられた。今回の「海洋基本計画」の見直しと合わせ、国家戦略として海洋資源開発を本格化させるべき時である。(飯)

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