韓国紙の朝鮮日報は28日付オンライン版社説で、文部科学省が27日に検定を通過させた来年度用高校教科書の過半数に「竹島(韓国名・独島)は日本の領土」とあることを取り上げ、「日本政府は歴史を捏造して作成したウソの資料に基づき、小中高校の児童・生徒に対し『竹島は日本領土』という虚偽の事実を教え込み、将来に禍根を残そうとしている」などと書いた。

一方、27日付日本経済新聞などによると、中国政府は東シナ海の尖閣諸島(中国名・釣魚島)や南シナ海など重要地域について、領有権を明記した地図の作製を促進する方針を打ち出した(26日付中国紙、法制日報)。これは武力こそ使っていないが、国際法上も日本領であることが確定している尖閣諸島に対する、事実上の侵略行為である。尖閣衝突事件の時のように、日本側が「大人の対応」と称して明確な反論をしなければ、中国側は「反論がないのは中国の主張を認めたため」として、国際世論を味方に付けようとするだろう。

憲法9条には「戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とある。ならば日本は、国際問題を「解決する手段」として、現状では「言論」をこそ武器とすべきであり、それが政治家や外交官に求められる能力であるはずだ。

「言葉にせずとも分かり合える」という日本人同士の素晴らしさは、文化や宗教の異なる諸外国には通用しない。必要なのは、客観的証拠に基づき論理的に自国の言い分を主張し、国際世論を巻き込んで相手国を説得していく力だ。実際、明治時代の外交官である陸奥宗光や小村寿太郎は、毅然たる態度とディベート力で列強に対抗した。

日本が他国の侵略から身を守り、世界の中で尊敬される国になるためには、自らの意見をきちんと言い、「正しいものは正しい」と主張する言論戦の能力が不可欠だ。今こそ日本は「言論を“刀"とする侍国家」とならねばならない。(黒)

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