2010年9月に起きた尖閣沖での中国漁船衝突事件で、釈放された中国人船長を検察官役の指定弁護士がこのほど、公務執行妨害罪などで強制起訴した。

この事件は、中国漁船が日本領海内で違法操業していたのを、石垣海上保安部所属の巡視船が検査するために停船を命じた際、「みずき」「よなくに」に次々に衝突させて、海上保安官の職務妨害をし、船体を破損させた悪質な事件だ。

海上保安官が衝突の様子をビデオで録画していて、現行犯逮捕の証拠としてあるのに、民主党政権は那覇地裁に事件を押し付けて、船長を釈放させてしまった。当時、那覇地裁は「日中関係への配慮」などを理由に、処分保留のまま船長を釈放しているが、国民からは信じられないズレた対応だった。

そもそもこれほどまでに時間をかけることはなかったのだ。船長を釈放せずに、起訴に踏み切っていれば済んだことだ。

こうした日本側の誤った対応が、どれほど日本の国益を損ねてきたことか。中国に同じような「罪」を重ねさせる原因にもなっている。民主党政権はどこを向いて政治をしているのかということだ。

強制起訴にはなったが、帰国した船長の法廷への出廷の可能性はほぼない。

今回、遅ればせながら検察審議決を受けて強制起訴にこぎつけたのは当然だが、政府は未だに公式には国民に隠している衝突ビデオを公開すべきだろう。同時に、中国側への巡視船の損害賠償もきちんと請求すべきだろう。(堤)

【関連記事】

2010年11月5日web限定記事 沖縄が中国に脅かされている 沖縄本島・石垣島・与那国島現地ルポ

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=112