13日付読売、朝日の世論調査で、野田首相の「不支持」が「支持」を初めて超えた。「消費税増税」については、読売で「反対」が54%と過半数を超えた。

野田首相の「不支持」が上回った理由は、「政策に期待できない」「指導力がない」などが上位だが、「増税」に対する国民の反発が大きい証左だろう。

それにしても気になるのは、野田首相以上にヒステリックに「消費税増税」を叫んでいる新聞マスコミの存在だ。特に読売は、同日の社説で「財政再建は先送りできない」と大きく論じている。

「社会保障は危機的だ」「公的な財政負担も限界にきている。年間108兆円の社会保障給付のうち、保険料で賄えるのは60兆円に過ぎず、国と自治体が40兆円を負担している。国の支出は一般歳出全体の3割を占め、毎年1兆円ずつ増え続けている」「消費税率1%で約2.4兆円の増収になり、国民が広く薄く負担を分かち合うことができる」などと説き、「厳しい現実を直視し、必要な負担を国民に求めることこそが政治の責務だ。国の進路を誤ってはならない」と結んでいる。

読売の論でいけば、国民は「厳しい現実を直視」せず、「必要な負担」を嫌がっているように聞こえる。だが、本当にそうか。

本誌で繰り返し論じてきたように、社会保障、特に公的年金に関しては、たとえ消費税を10%に上げたところで「焼け石に水」だ。現に増税分5%のうち社会保障に回るのは1%しかない。もし読売社説が言うように消費税率1%で約2.4兆円を社会保障に回すとしたら、社会保障分だけで現在不足分の40兆円を賄うためには消費税率20%は必要だ。さらにこれから高齢者が増えていけば、消費税は30%、40%でも足りなくなる。

そのような数十年後の見通しをせず、「増税せよ」と言っているマスコミの姿勢こそ無責任だ。税務署に「弱み」でも握られ、財務省の応援団になって世論をミスリードしようとしているのか。もはやマスコミは世論の味方ではなく、国家権力の味方と堕し、国家社会主義の方棒を担いで、日本を破滅に追いやろうとしているのではないか。(仁)

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