菅首相が「原発の再稼働は認めない」と繰り返し、全国の原発の安全宣言をした海江田経済産業相を非難していた事実を、7日付日経新聞が報じている。浜岡原発にとどまらず、日本のすべての原発を止めるという菅首相の本音が明らかになったことで、来年4月までに日本の全原発が停止するという最悪のシナリオが現実味を帯びてきた。

記事によると、松本復興担当相の交代問題で混乱している最中の今月5日、菅首相は海江田経産相を執務室に呼び、「原発の再稼働は認めない」と何度も繰り返し、6月18日に全国の原発の安全宣言をした海江田氏を非難。海江田氏が「原発を止めたら、今後の電力供給はどうなるのですか」と詰め寄ると、首相は「再稼働で原子力安全委員会の意見は聞いたのか」と別の論点を持ちだし、「聞いていません。安全委に諮るのは新規稼働だけです」と答えた海江田氏に対し、「法律はそうでも、国民は納得しない」と押し返したという。

菅首相は翌日の6日に、全国の原発の再稼働の是非を判断するために、突然、耐久性を調べるストレステストを実施する方針を示し、再稼働の条件に新たなハードルを設けた。だがこれは、前日の「原発の再稼働は認めない」という意志を政策として明確に打ち出したものと言える。

これを受けて7日、再稼働に向けて取り組んでいた玄海原発を抱える佐賀県玄海町の岸本町長は再稼働の同意を撤回し、「菅首相は信用できない。早く新しい首相に代わりに安全と言ってもらいたい」と怒りをあらわにした。同日、古川県知事も会談した枝野官房長官に「なぜ今なのか。誰の言葉を信じていいか分からない」と抗議した。知事に再稼働を求めていた海江田氏は参院予算委員会で、「いずれ時期が来たら、私も責任を取る」と辞任を示唆している。

菅首相は5月に浜岡原発の停止要請を行ったが、今回明らかになったのは、「日本全国の原発を動かさない」という固い意志だ。徹底的に日本を衰退させるつもりの菅首相を一刻も早く辞任させなければ、日本という国家そのものが全停止状態に陥ってしまう。(格)