菅内閣に対する不信任案が2日午後、大騒ぎの末、結局は大差で否決された。

菅直人首相が大震災と福島第一原発への対応に一定のメドがついた時点で退陣する考えを示したからだが、この辞任時期をめぐっては、各陣営が都合のいい解釈をしており、「同床異夢」の状態にある。

菅首相は、震災復興対策を盛り込んだ今年度第2次補正予算を8月前後に編成し、国会に提出する考えを示している。原発事故については、来年1月までに収束させたい意向だ。これからすれば、9月以降とも来年明け以降ともとれる。

これに対し、鳩山由紀夫前首相は2次補正予算の成立ではなく、編成時だとして、「6月中」の退陣を考えている。

菅首相は、「一定のメドがつくまで」というこのひと言で、鳩山氏や小沢一郎元民主党代表ら、当初、不信任案に賛成すると表明していた議員たちを煙に巻くことに成功した格好だ。

ただ、現実はそう甘くない。不信任案に賛成した自民、公明、たちあがれ日本、みんなの党は今後、震災復興関連の法案や予算案に簡単には協力できなくなる。菅首相が辞任することを確約しなければ難しい。

となれば、菅首相は1、2カ月以内に辞任せざるを得ない。

その後は、民主、自民、たちあがれ日本、国民新党などによる「大連立復興内閣」が登場し、その内閣で「一定のメド」をつけた後に解散・総選挙ということになるだろう。

総選挙は秋から冬にかけての可能性が高い。寸前までいっていた菅首相による「ブチ切れ解散」から半年は先送りされた形だが、その日は着々と近づいている。(織)